―― 木地 ――
木地は、 (1)木の地質(木目)、(2)細工物の粗形、(3)とくに指物・漆器などに漆その他の塗料を加飾しないものをいうが、このうち(3)を製作することを生業とした職人が、近世以来ひろく〈木地屋〉と呼ばれていた。
それも大別すると、(a)指物などの板物細工に従った角物木地、(b)円形木器の恐物(ひきもの)細工に従った丸物木地、(c)杓子・檜物(曲物)など雑多な木地細工に従うものがあった。
その中で(b)の丸物木地は、工具に原始的な手びきろくろとろくろがんなを操作して、いわゆる恐物の日用食具(椀、盆、丸膳など)を主に生産して庶民生活にとりわけなじみ深いものであったからか、木地屋といえばもっぱらこの種職人の代名詞のようになっている。
恐物を作るので木地恐ともいい、そのほか轆轤師(ろくろし)、木地師、狛屋(こまや)などの呼名がある。
平凡社世界大百科事典より
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